「囚人のジレンマ」で勝つものは

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

「理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性」
著者:高橋昌一郎 出版社:講談社現代新書 分類:論理学・哲学
「目次」
序章 理性の限界とは何か
第一章 選択の限界
第二章 科学の限界
第三章 知識の限界
「概要」
人間はあらゆる問題を理性的に解決できるのか、永遠に超えられない限界があるのか。シンポジウム形式でディスカッションする。

「書評」
P.83、84
囚人のジレンマ・ゲームをコンピュータに戦わせて、どのようなプログラムが最も高い利得をえるか、コンテストを開催して見極めることにしたのです。
・・・優勝したのが応募された中でも最も単純なプログラムだったからです。
それは、トロント大学の心理学者アナートル・ラポートの作成したプログラミング言語FORTRAN三行で書かれたもので、初回は「強調」を出す、次回は前回の相手と同じカードを出す、以下これを繰り返すというだけのものです。そこでこのプログラムは「TFT」(ティット・フォー・タット)つまり「しっぺ返し」戦略と名づけられました。・・・人間社会で言えば、相手から高い信頼感を得ることのできる「上品」な戦略といえます。

この結果は世の中の真理を現していると思う。人から信頼を得ることの大切さと、ただ、相手を信じるだけでは生きていけないことを示唆していると思う。人間の感情は複雑なようでシンプルなのかもしれない。

P.91
プレーヤーは、自分が取りうる戦略のそれぞれについて、相手が利得を「マックス(最大)」にしようとすることを想定しますね。その中で、自分の損失を「ミニ(最小)」にしようとする戦略です。もっと簡単に言うと、「勝とうとするよりも、まず負けないようにする」という考え方です。

勝負の世界で「負けないこと」は消極的な気持ちでマイナスの印象があるかもしれない。だが、勝負の世界で永い間勝ち続けてきた者は、おそらく負けないことを常に強く意識しているだろう。自分の力を過信し一か八かの勝負にでるものは、素人ということである。

「習慣化1」
使う場面:プログラムを設計するとき
 チェック項目:□プログラムは最小限のシンプルなものにしたか。
「習慣化2」
使う場面:日常生活、業務遂行中全般
 チェック項目:□人から高い信頼を得られる行動をしたか。
「習慣化3」
使う場面:プロジェクトを遂行するときなど
チェック項目:□最悪を想定し失敗を最小限にする対策を講じたか。