桃栗三年柿八年

その1

 小学三年生の息子は、3歳頃から塾に通わせ国語、算数を学習させてきた。最近、教材の内容と実年齢のギャップが大きく、学んだ内容が身になっていないと思ったので、思い切って国語を止めるように塾に申し入れた。
 こちらの申し入れに対し、塾の先生から「話がしたい」と連絡があり出向いていった。先生からは国語を勉強することの大切さ、教材、教育システムの優れている点の説明を受けたが、納得いかず国語を続けさせようとは思わなかった。塾は「少しでも早く先の内容(教材)へ進むこと」が目的、私は「年相応に文章を読む、書く習慣を身に着ける」ことが目的であった。
 子供に対して将来どんな人間になって欲しいかというと、①自ら考え、自ら行動できる知恵と勇気を持った人間②汎用的なスキルを身につけた人間③対人能力に優れている人間である。塾での国語の学習を通し①を向上させたかったが、息子はノルマ化したプリントを文章の内容も理解せず、空欄を埋めるだけの作業となってしまっていた。年相応の国語力は身についたと思うので、少しペースを緩めもっと友達と遊んで欲しいと思う。今しかできない大事なこともたくさんあると思うから。
 
「桃栗三年柿八年、柚子は九年でなりかかる、梅はすいとて十三年」

桃は三年、柿は八年たたないと実を結ばない。実になるためには、それだけの準備期間もいるし、心のこもった世話もいる。人間も同じで準備期間と世話がいるし、それぞれ花を咲かせ結実する時期も違う。