深く考える力

その20
 情報や知識は頭の中で分類,整理しないと活かせるものとならない。普段,無意識のうちに情報を分類,整理しており,うまく納まったものだけが,自分のものになっているのであろう。しかし,うまく整理できないことも多く,解決できる手段がないかと考えていた。それを解決する手段の1つとして「フレームワーク」を考える。
 「フレームワーク」とはある目的のために,要素を決められたルールの枠組みに整理し,構造化する思考の仕組みのことである。
対象となるものを頂点に,要素を枠組みに整理しピラミッド型の階層構造にする。下位の枠組みが,上位の枠組みの根拠となるようにする。同一階層の枠組みは,対象によって演繹法帰納法を適切に使い分け関連性を持つようにする。
 演繹法とは一般的原理から論理的推論により結論として個々の事象を導く方法。帰納法は個々の事象から,事象間の本質的な結合関係(因果関係)を推論し,結論として一般的原理を導く方法。演繹法帰納法は,相互の到達点が相互の出発点となり,その論理を相互検証することができる利点がある。
 演繹法の欠点は,正しくない,あるいは使用するのが適切ではない前提を用いてしまうことがあることである。先入観や偏見で間違った前提を適用してしまう場合や,ある限定された範囲でのみ正しい前提を全体に適用してしまうような場合である。 (わかりにくい場合の多くはこのパターンと思われる。)
 帰納法の欠点は、全事例を網羅するか,それと同等の論理証明をしない限り,帰納した結論(帰結)は必ずしも確実な真理ではなく,ある程度の確率を持ったものとなることである。事例の集合が不完全である限り,いくら事例をあげても,その確率のものにしかならない。
演繹法帰納法を意識し作った枠組みを,同じ種類で表現されるもので一つのグループにする。
 グループ化では根拠となる構造や分類を明確にしておく。類似点を探り出し分解と結合を繰り返し洗練していく。枠組みは,MECEを意識する。個々にみてダブリがなく(Mutually Exclusive),全体的にみてモレがない(Collectively Exhaustive)ようになっているか。見落したポイントがないか。他の視点もないか。
 フレームワークの規則を守り,思考を繰り返すことで,全体を俯瞰し漏れなく考えを深くいきわたらせることができる。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

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