ウェーブがタフにする

その16

 米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した金融市場の動揺で,ニューヨーク株式市場ではダウ工業株三十種平均が10,325ドルという2005年10月以来の低水準に落ち込んだ。その対策として10月3日,米国で金融安定化法が成立した。最大7,000億ドル(約74兆円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取る。公的資金の投入が経済を良い方向に導くのかと思いながら,何かと繋がるものを感じた。
 人間の筋肉を強くするためには,今より高い負荷レベルのトレーニングと,回復するための休息のサイクルを繰り返す必要がある。
 精神面においてもアーブ・ダーディックは,「感情的にタフになるためには,適度なストレスと回復が必要である」と主張している。
 同じように,株価のウェーブ(ストレスと回復)が経済をタフにすると思う。株価の下落が「悪」ではない。経済が真の強さを得るためには,ウェーブの振幅(変動の大きさ)と周波数(変動の周期)を適切にコントロールすることが必要だ。解決策は森羅万象の摂理の中に隠れている。
「自然は教師なり。自然を観察し,自然に即してよく考えると必ずそこからアイデアは生まれてくる。」小川栄一